なるほど!お菓子事典 〜小さな製菓専門学校〜

製菓理論専門家が軽やかに、そして熱く語ります。

バリエーションの為の配合(オリジナルレシピ)〜シフォン編〜

プレーン生地からいろいろなバリエーションを作りたいと思うのはお菓子作りにおいて自然な流れですよね。

ココア味にしたり抹茶味にしたり紅茶の茶葉を混ぜ込んだり.....。この辺りまでは生地状態への影響もさほど無くて

おお!いい感じに出来た!なんてうれしくなっちゃたりします。

ただこれが、野菜のペーストだったり果物だったりすると

あれ?こんなはずじゃなかった!?と残念な結果に陥る事もしばしば......。

今回はそんな残念な結果を打破すべく、カボチャのシフォンを例にして配合の打ち出しをご紹介してみようと思います。

 

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配合から見るシフォン型の仕組み

先ずはシフォンの基本的な配合からみてみましょう。

この配合は私の持っている資料から一番わかりやすそうな配合をひろいました。

 

シフォンケーキ(17cm)

●卵黄ベース

卵黄     60g(L玉約3個分)

グラニュー糖 20g

水      30g

オイル    30g

薄力粉    50g

●卵白ベース(メレンゲ)  

卵白     120g(L玉約3個分)

グラニュー糖  50g

 

 この配合から

シフォンの材料の構成の比率を簡単に。

卵:水分:砂糖:オイル:粉

180:30:70;30:50

 

ここで、水分を卵と同様と考えてみると

卵:砂糖:オイル:粉

210:70:30:50

こう見るとシフォンと言うお菓子はかなり水分量の多い配合だと言うことがよくわかります。

水分に対して粉が約1/4ですから生地自体の柱が足りない感じです。

だからシフォン型は真ん中に柱がある独特な形な訳です。

 

混ぜ込む量の頃合い

さて、今回はカボチャのペーストを使いたいわけですけど、生地に混ぜ込むと言っても混ぜ込み方はいろいろで例えば基本のプレーン生地を作ってから混ぜ込む方法もあれば今回の様に生地を仕込む段階から混ぜこむ方法もあります。でもどんな方法もたくさん入れすぎるは元の生地そのものの構成が壊れてしまうのでおすすめ出来ません。

私の経験からもたくさん入れてうまくいった試しがない(笑)

こちらのブログでもちょいちょいお伝えしてますがだいたい総重量の30%くらいがなにをするにも良い頃合いな気がします。

と言うわけで今回もペーストを加える量はそういうことで....

 

配合トータルのgは360g

これの30%は108g

わかりやすくする為に

カボチャペーストを100g足すと考えてみます。

さて、このペーストを材料のどの仲間に組み込みかが比率の鍵ともなるわけですが

単純に考えて

水分

ですね。

ここで迷うのがカボチャにしても品種によって様子が違いますし、他の野菜や果物もそれぞれですのでその水分量をどう調整するのかという事ですよね。これが難しい。

単純にgとして考えてしまっていいのか....

ただ、この総重量の30%ぐらいの混ぜ込みは何でも'なんとかいけちゃう'範囲内ではある気がします。でも、私はその時の使いたいものの状態をみて微調整はします。

 

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配合の調整

卵:水分:砂糖:オイル:粉

180:30:70;30:50

この配合にペーストが加わるわけなので水分を減らしたり

粉を増やしたりして調整をしていきます。

 

卵:水分:ペースト:砂糖:オイル:粉

180:30:100:70:30:50

↓まず、水分を減らす、ペーストを滑らかにする役割するくらいに調整

180:20:100:70:30:50

↓水分が増えるので、粉の力をつける感じで粉を増やす

180:20:100:70:30:80

↓砂糖を増やす(ペーストの甘みによっては増やさなくても良い)

180:20:100:80:30:80

 

カボチャシフォンケーキ(17cm ペーストが増える分容量の調整が必要)

●卵黄ベース

卵黄       60g(L玉約3個分)

グラニュー糖   20g

水        20g

オイル      30g

カボチャペースト 100g

薄力粉      80g

●卵白ベース(メレンゲ)  

卵白       120g(L玉約3個分)

グラニュー糖    60g

 *粉にスパイスを加えても合うと思います。

 

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カボチャも品種によって焼き上がりの感じもいろいろでたのしいですよね。

 

オリジナルレシピを考える

自分のオリジナルレシピを作りたい場合

先ずは

元の配合比がどのようになっているのかを見直すところからはじめてみるとよいと思います。元の配合がどんな比率で出来ているのか。

そしてその配合比をあまり壊さないように調整していく感じです。

だって基本の配合比が大きく崩れてしまったらそれはまた別の種類のお菓子になってしまいますものね。

オリジナルレシピって何もないところからつくり出すイメージがありますけど

結局はお菓子は基本配合の土台の上に成り立っている物ですよね。だから調整も微調整になる事の方が多い気がします。でも、10gの調整でもかなり生地状態に影響は出るのでその微妙な変化でオリジナルレシピが完成していくのです。10g違ってもそれはもう自分のオリジナルレシピになるということです。

シフォンは水分の調整と粉のバランスがポイントになる生地だと思います。

いろいろ微調整してみてオリジナルレシピを見つけてみてください。