なるほど!お菓子事典 〜小さな製菓専門学校〜

製菓理論専門家が軽やかに、そして熱く語ります。

ヨーロッパとアメリカ。しっとりとザクザク。

我がボンボンシエルの看板商品でもあるスコーン…ちまたではもうすっかりお馴染みの焼き菓子ですが、

形、食感は本当にそれぞれで、奥深いお菓子でもありますね。

スコーンはお菓子なのか?

それとも

パンなのか?

そんな話も出てきたりします。

ブリティッシュタイプ

アメリカンなタイプ

タイプ別にしたりする場合も。

我がボンボンショップのスコーンはしっとり系なので

タイプ別に言えばブリティッシュタイプ。

それを求めて来てくださるお客様がほとんどですが、たまに

「ザクザクしたのが好きなんですが」

とおっしゃる方もいらっしゃいます。

もちろん好みはそれぞれですし、こんなにいろんなスコーンが

あちらこちらに展開されているわけですから

好みが分かれるのは当たり前の事です。

 

さて、このスコーン配合を変えずに

自分の好みに合わせて食感を変化させることも

実は可能だったりするんですね。

もちろん以前スコーンの基本配合の変化で

生地自体のバリエーションをお伝えした事もあるのですが。。。

 

www.bonbonciel.work

 

 

今回は配合を全く変えず

製法を少し変化させてタイプの違うスコーンを作ってみましょう。

 

スコーン生地の製法は基本的に

'サブラージュ法'と言われる

粉類とバターをすり混ぜて砂のような状態にしてから水分を加えてまとめ上げ、

分割して焼成をかける製法です。

食感の変化は単純に

この'サブラージュ'の状態を変化させることによって変える事が出来ます。

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私は仕込みのサブラージュをフードプロセッサーを使います。

かなりバター粒が無くなるまでプロセッサーにかけますね。

うちの基本スコーンがしっとり系になるのは

このサブラージュが細かくされてある所にもあります。

つまりバターが細かく分散されている状態。

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ここに水分を加えてまとめあげ、何度か折り込み作業を繰り返します。

この作業で、

より生地に使われている材料それぞれが

'均一'にまとまっていきます。

なので焼き上がりもしっとりまとまっている感じ。

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 そして、一方

このサブラージュの状態をかなり粗くしてみます。

バターの塊が所どころに残っている感じ。

レシピによってはこのくらい残しましょうと指示しているものもあるかもしれません。

あえて、バターの部分と粉類の部分を作る感じ。

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それに水分を加えてまとめあげます。

ここではとにかく全体がぽろぽろしている感じに。

それを分割して丸めるだけ。

大雑把に作業して大丈夫です。

返ってそうしないとザクザク感が薄れてしまいます。

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焼き上がりはバターの塊の部分だけが熱で溶けて生地の底にまとまり、

そこだけ油脂が強くなりパリパリな感じに焼き上がります。

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パイ生地がザクザクするのはバターと生地の部分がバラバラに火入れされているからです。

その感じをこのスコーンでもやってるイメージです。

 

ザクザクのスコーンはしっとりタイプに比べてかなり大胆な感じに作ります。

 

この辺りも

型で丁寧に抜いて成形して焼き上げるヨーロッパのタイプと

混ぜてまとめて焼くだけのアメリカンなタイプの違いが面白いですよね。

なんか文化や国民性の違いも感じられて。。。

 

生地の製法を変化させるだけでも食感を変えられるスコーン…

いろんな変化を試してみて自分の好みのオリジナルスコーンを見つけてみて下さい。