なるほど!お菓子事典 〜小さな製菓専門学校〜

製菓理論専門家が軽やかに、そして熱く語ります。

なんとかなっちゃうという事。

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ボンボンシエルでは

「違いを知る実習」というのを

理論を勉強された方の次のステップとして

理論から実習の流れで受講を進めています。

今回の授業は

「油脂を変えてカトルカール」

の授業。

 

オイルとバターとどう違うのかを

作る工程の生地状態

焼き上がり

食べた時の風味、食感

まで

いろいろな切り口で検証してもらうわけです。

 

今回は

オイルとバター

製法は別立て法

そして

バターは溶かしバターで。

オイルも'液体'

バターも固形では無く'液体'にしてみる。

カトルカールのようなバター生地を

作る場合大抵は

'バターを柔らかくして立てる'

という製法で作る事がほとんどかと思いますが

今回はあえて

液体にしていつも焼いている製法との違いも

見てもらいました。

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バターを立てずとも意外と上がってくれる(笑)

これは別立て法でメレンゲの働きも

もちろん手伝ってくれてはいると思いますが。

ここでちょっと言える事は

バターを柔らかくし過ぎちゃったなんて事があったとしてもなんとかなっちゃった…

なんとかなっちゃう…

って事(笑)

 

私は製菓理論を熱く語る人なので

バターは可塑性が大事!

可塑の状態を見極めて!

可塑範囲を知って!

って普段それはそれはしつこいのを

通り越してますから(笑)

正直、ほんとはなんとかなってもらっちゃうのはなぁ

…なんですけど(笑)

もっと正直なところ…こう言った実験的な事をやると、そこまで頭固くしてどーする?

って気持ちが起きない事も無いです。

………

今回の授業で話してたんですが

理論を知らないで

なにも考え無いでただ言われるがままに

作ってた時の方が上手いこと出来てて

勉強したら勉強した分'迷い'も出てきた。

と(笑)

確かになんで?どうして?

ってなってくると

感覚では無くて頭で作るようになるわけですから…私もそう!

理論の先生になってから

仕込みに時間かかる気がする(笑)

 

でも

「なんでこうなった」

がわかるようになると最強じゃないですか?

って話もしました。

 

'なんとかなったやつ'って

結局正攻法できちんと作った物とは

別物になるんです。

それってお菓子を作られてる方なら

一度は経験されているのでは無いですか?

 

今回はなんとかなったんでは無くて

きちんと可塑性の無いバターを使うからと

しっかり卵の気泡性と熱膨張そして熱凝固性も使って焼き上げているので実は意外に上がってくれたんでは無く、ちゃんと正攻法で焼き上げているんですね。

それをわかって焼き上げているわけですから

この焼き上がりの状態は

'はいはいそうなりますよね'となります(笑)

 

私が理論にこだわるのは

こういった事がたくさんあるから…

 

面白いですよね。お菓子って。