なるほど!お菓子事典 〜小さな製菓専門学校〜

製菓理論専門家が軽やかに、そして熱く語ります。

ココアパウダーは「粉(パウダー)」なのか

 
 

「お菓子が必ず上手になるblog」などと銘打っている割にその手の話がおざなりになっておりまして…大変失礼しております。

 
少しずつご紹介させていただきますので何卒気長にお付き合い下さいませ。
 
今週のボンボンショップのシフォンは「ショコラ」をご用意しています。
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基本の配合に
クーベルチュール、ココアパウダーをプラスして配合バランスを整えて仕込み。
 
プレーンをチョコに差し替えしたい場合ってお菓子を作るにあたり結構あるかと思うんですよね。
 
単純にココアパウダー混ぜりゃチョコ味のシフォンやスポンジ……。
 
そんな簡単に考えていませんか?
 
ココアパウダー
パウダーだから粉
だから薄力粉と同じ
 
確かに薄力粉の配合の一部をココアパウダーに差し替えて作るレシピもあります。
出来ないわけでは無いので(^_^)
 
製菓理論的にいうと
ココアパウダーは薄力粉と同じには考えられない材料です。
どちらかというと
 
「油脂」
 
ですね。
ココアパウダーはチョコレート製造時にできるココアケーキを粉にしたものです。カカオ脂(カカオバター)が混ざっているんです。これ、製菓衛生師資格試験過去問にも出題されたりしてます。
ついでに
ココアパウダーはチョコレートを粉にしたものである。◯か✖️かそんな問題も。
これはもちろん✖️(^_^)
 
ココアパウダーを混ぜて焼き上げたシフォンやスポンジを作ろうと思って焼いてみたけれどプレーンの時より膨らまなかったぁ
という経験あるかと思います。
 
それは「油脂」が気泡を殺してしまう作用があるからなんです。
ここでいう「油脂」はココアパウダーも含まれ、ココアパウダーを配合にプラスする事によって油脂が気泡を殺す力も増えているという事にもなるんですね。
 
だからココアパウダーを配合にプラスした場合は材料を混ぜ合わせる順番を変えたり、混ぜ方を最小限にして混ぜ過ぎを防いだりする必要が出てきます。
 
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ココアパウダーは「油脂」である。これを踏まえてシフォンを私が仕込むと…
 
「ココアパウダーは粉と一緒にふるっておく」
 
では無く
 
 
「オイル、クーベルチュールチョコレート、ココアパウダーをボールに入れ、少し熱いと感じるくらいのお湯で湯煎して溶かしておく」
 
になります。
この時グラグラ沸かしたお湯に湯煎する。では無いことをご注意下さいね。
 
そして私が仕込むと最後のメレンゲとの混ぜ合わせも
 
「一部のメレンゲを卵黄生地に混ぜて」
 
では無く
 
「全部のメレンゲを卵黄生地に混ぜて」
 
になります。
 
ただこちらはメレンゲの状態や立てる卵白の量にもよるのでこちらもご注意を。
重要なのは
 
必要以上に混ぜすぎないという事です。
 
 
混ぜる順番や混ぜ終わりにもちゃんと意識を向けると焼き上がりが違ってきます。
一度試してみて下さいね。