なるほど!お菓子事典 〜小さな製菓専門学校〜

製菓理論専門家が軽やかに、そして熱く語ります。

アイスを持って来てくれた、彼女の話。

「こんにちは〜」

暑い中、大きな目をまるまるさせながら来てくれた彼女は、先日姉弟で起業を目指していると体験にも来てくれたお姉ちゃんのほう・・・

 

その時の様子はこちらで

 

www.bonbonciel.work

 

「笑...どう?その後」

 

「弟はやっぱりすぐやりたいって、今のベーカリーをやめて福岡に先に帰るっていってます(笑)頑固なんで」

 

彼は若いけど現場入りしたのが早かったので技術的にももうだいぶ落ち着いているんです。その事を言ったら

 

「そうなんです。実は今、弟のベーカリーの空調が壊れてしまったらしく...

でも、この暑さで修理の業者さんもたてこんでてなかなか来てくれなくて。

そんな中でもしっかりと対応して製品作れる俺ってかなり出来るし!って(笑)言ってます。」

 

「はははっ!だから早くやりたいと。」

 

「はい」

 

「いいねぇ。いいんじゃない」

そういいながら私は先日のブログにも書かせてもらったクオリティの高い接客の話をしました。

若い人にこそきちんとした接客を身につけて欲しいって話。

そしたら弟君も東京にいる間に製造だけではなく接客も経験しておきたいとも考えているらしい.....

この姉弟、ほんとにちゃんとしてます(笑)

 

 

「弟君はそんな感じでお姉ちゃんのほうはどうなの? 」

 「私はもう少し東京にいようとは思っています。」

 

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 彼女は今、パティスリーで製造補助の仕事をしているんですけど

彼女曰く、最終的に自分がやりたい事はしっかりわかっているけれど、それに向かって今やらなきゃいけないものの優先順位に迷ってると。つまり、製造なのかマネージメントなのか.......お店をやるにはどちらも必要ですからと。

 

前回会った時もそうだったんですけど、お菓子を作るのは好きだとはいうものの接客とかやりたいんです。と言ってて、どーも実際お菓子を作る事は2番手っぽい話し方だったんです。

 

今回、彼女が言っていた'接客とかやりたい'の意味がわかりました。

 

彼女以前福岡で勤めていたレストランで接客の仕事はもちろん、その他にお店での

'イベントの企画立ち上げ、開催まで'もやってたんですね。

たとえばワインの企画とか知り合いの弁護士さんを呼んで身近な相談のってもらう会とか.....。(なんで急に弁護士さんなのかはよくわかんないけど(笑))

 

あーーーっ!そっちのものづくりなのね!

 

そりゃ面白かったわけだ。

で、自分のお店でもそういったイベントを企画してやりたかったんだ。

 

「じゃあ、カフェとかでそういった企画イベントを定期開催してるようなところを経験しておくのもいいのかもね」

彼女のおおきなまんまるの目が一瞬もっと大きくなった。(笑)

 

そんな話をアイス食べながらしてたわけですけど、

 

最近よく思うのは、今回来てくれたような若いひとに

「私が20代の時はこうしたよ」って話をしても全く役に立たないって事。

ただの思い出話にしかならない。それは先を生きる先輩として申し訳ないなと。

 

私が20代の頃は本当に素敵なあこがれの先輩がたくさんいてその人達が今の自分と同じくらいの歳の頃の話をしてくれると食い入るように聞いて、同じようにしたらこんな風になれるんだ!って普通に思ってました。世の中が安定してたから。ある程度の先が見えてたんですね。先輩方が良い事例になってくれていた。

 

今はこうすればこうなるよって言う確約を伝えてあげられないんです。

いつ、なにが、どうなるかわからないから。

だから自由だけれど大変だなとも思います。

いい、わるいという事ではないけれども。

 

彼女にカフェとかもいいかもね。なんて簡単に言った後

 

「なんか、勝手に無責任に言っちゃったけど.....」

 

「いえ、決めるのは自分ですから」

とニコニコしながらはっきりこたえた彼女。

今を生きる世代です。