なるほど!お菓子事典 〜小さな製菓専門学校〜

製菓理論専門家が軽やかに、そして熱く語ります。

作り手の違いと生地状態

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今回はお菓子作りはほぼほぼやった事が無いという2人の方がご来店。

それぞれ同じ配合で作ってもらいました。

未経験の方で違いを比べると

ほんとに顕著に出るんです。

これがたのしい。

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'バターが柔らかくなったらお砂糖を加えてすり混ぜて下さい'

 

'粉気が無くなったら混ぜ終わり'

 

この二つの工程だけでもそれぞれの混ぜ終わりストップのタイミングが全然違うので。。。

 

お菓子作りをある程度重ねると

この感覚が安定してくるので

違う作り手だとしても今日くらいの違いは出ないと思います。

 

砂糖とバターの混ぜ終わり........

一方は少しまだ黄色味がかった状態。

もう一方は白っぽい状態。

 

粉合わせ........

一方は表面がデコボコしているようなマットな感じ。

もう一方はなめらかで少し艶やか。


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作っているのを見ながら

違いが出そうだなぁと思って

その事を伝えていたのですが

 

食べ比べてもらった時の

「うわー!全然違うっ!!!!」

の声に

内心

しめしめ…してやったり(ガッツポーズ)(笑笑)

 

どう違うかというと

マットな感じの生地はザクザクぼろぼろと崩れるような食感。

なめらかな生地はしっかりまとまった感じ。

なんとなく想像つきますよね。

 

それと今回は

いろんな厚みの絞りにもなったので

焼きが甘めと強めの生地も

食べ比べてもらいました。

 

「これも!ちがーう!」

 

ふふふふふ

 

反応が新鮮っ!(笑)

 

焼きを甘くするとしっとりほろほろと崩れる感じ

強くするとサクッと乾いた感じ

ようは生地の水分の状態が違う感じでしょうか。

 

専門学校講師時代...

ガレットブルトンヌという厚焼きのクッキーの授業で使わせていただいた

他の先生のルセットは本当にこんな短い焼き時間でいいの?

と感じるくらいの短さで

火入れギリギりの焼き上げをするものでした。

食べてみるとかなりしっとり崩れる食感で

わたしのイメージするガレットブルトンヌとはまったく別の物.....

火入れの状態でもこんなに違ってくるものなのだと

改めて気づかせていただいたのを覚えています。

 

 

生地状態についての話にもどると 

 

実は'絞る'という行為は絞ることでより生地に負荷をかけることにもなるんですね

だから

粉合わせの後また生地をもっと混ぜる事になるわけで...

粉の混ぜ終わりの見極めもこの後まだ絞るんだと考えてちょっと手前で止めておく。

窯入れの時に生地が一番自分のイメージに近くなるか考えるんです。

 

混ぜの状態だけでも今回のように焼き上がりに違いが出る訳ですから

自分の作りたい食感のイメージも何度かつくって混ぜ終わりの生地状態を

決めて行くと安定した製品が作れると思います。

そして

よく聞かれる

「焼き時間はどれくらい?」

これも自分のイメージする焼き上がり生地で全然ちがってくるので

実は答えづらい質問だったりするのです。

作り手がどんな食感にしたいのかによる所が大きいので。

ただこれはかなり上級者向けのお話ですけれど。

 

今回のような初心者の方は

焼かれるオーブンの小冊子(付いてくる料理本)を参照してください。

これ、かなり重要ですよ。

この話はまたの機会に.........。