焼き菓子店 ボンボンシエルの「製菓理論」講座

自分のオリジナルお菓子ブランドをつくりたい、第2の人生にお菓子屋さんをやりたい、というお客様の声を受けて、プロのスキルとして必須である「製菓理論」をわかりやすくまとめました。お菓子の味を安定させる技をぜひ習得してみてください!

海外で起業そして材料の違い

以前からたまにちらりほらりと海外でお菓子屋さんをやりたいと言う方が

来てくださいます。

今回もそんな中のお一人。一時帰国の大事な時間を使っての来店です。

我がボンボンシエルにいらっしゃる海外で起業を考えていらっしゃる方はだいたいがアジア圏。

マレーシアとか、インドネシアとか、今回の方はベトナム。

正直なところ私は海外で起業の経験は全くないのでどこまでお役に立てるのかはわからないのですが.......。

海外でお店やろうとされる方でよく聞くのが

「おいしいお菓子が現地に無いんで。」

ですよね?

今回の方もそんなくち(笑)

 

 海外におけるお菓子作り経験

私は海外での起業の経験は全く無いのですが

お菓子の開発をしにしばらくの間、日本と海外を行ったり来たりした経験はあります。

行った国は同じアジア圏の大陸「中国」です。

どんな開発かというと

「日本と全く同じお菓子を作って欲しい」

というもの。

現地の大きなお菓子工場の一角を借りて

ロールケーキ、チーズケーキ、フォンダンショコラ........etc

作っては試食、作っては試食の日々。

とにかく難しかった。

材料の違い〜鶏卵〜

ジェノワーズ(全卵を立ててつくるスポンジ)を焼こうとすると、まず、全卵の立ちがすこぶる弱い、なので全然浮かない。とりあえず卵は共立てではなく別立てでやってみる事にして、それでも立ちがまだ弱いので卵白の配合を増やしたりしました。

なぜここまで立ちが弱いんだろう???

答えは何となく食べたホテルの朝食のスクランブルエッグ。

「ん??薄いっ!」

味付けが薄いのでは無く、卵自体の味が薄いんです。

立たないのはこの薄さのせいかっ!?

私が卵の薄さ?にすぐ気がつかなかったのは自分で割卵しなかったから。

全部工場のパートさん?が割って持って来てくれたから....全卵をひたすら卵黄と卵白に分ける作業をほぼ専門的にやっている人がいたので。

そのおばちゃん達に混じって割ってみたら、

製菓理論的に言うと、ほとんど卵白は様卵白の様にさらさらしていて、濃厚卵白のようなぽてっとしたところはかなり少なかった。それでこりゃ立ちが安定しないのもうなずける。日本でこういった卵を見つけようと思ってもなかなか見つかるもんでもないですね。あるとしたらかなり古いもの.....。

高い材料をいくらでも使って構わないと言われていたので卵自体に問題があるかもと伝えたらかなり高級卵を買って来てくれたのですが、最後迄共立てで作るのは無理でした。

推測ですが、鶏さんが食べている餌自体から違っているのだと思います。

日本の卵は餌にまでこだわってますものね。

材料の違い〜砂糖編〜

 砂糖も粉糖が使いたくてお願いしたら、グラニュー糖らしき砂糖をどうやらプロセッサーにかけてきてくれて...

....無いのか?....粉糖........。

工場内にある材料ストックを見せてもらったら

かなり泣いたグラニュー糖?(湿気ている感じ)がほとんどでした。

べたついてるけど上白糖ではなさそう.....ま、上白糖は日本のお砂糖ですから(笑)

ほぼこの砂糖で何でも作っているのね。

砂糖を変えて風味をかえるなんてことはないようです。

材料の違い〜粉編〜

 

粉合わせをすると混ぜてるそばから粘りが出てきます。

 ひーっ!.....こりゃ粉の配合見直さないと駄目だわ....

この粉は一体何者なのかな?中力か?薄力でないことは間違いないな。

結局、粉に関しては現地で手に入る粉ではお手上げで、商社まで出向いて日本からの調達の話を聞きに行きましたけれどロットがとてつもなく大きくなるので.、私が携わっているときにはどうするのかは決められませんでした。

お金に糸目はつけないからと依頼主からは言われたものの.....

 とにかく粉自体が全く違うんですね。

粉の違いを実感した後

「あーやっぱり中国と言う国は'点心'の国なんだ」

と思いました。

小籠包、饅頭、それ関係はどこで食べてもめちゃくちゃ美味しかった!

それも生地がっ!(笑)

中国にある粉は本当に点心に向いている気がします。力があってもっちりして。

製菓理論的にいうと同じ粉でも、たんぱく質の含有量と質が違うのでしょうね。つまりグルテンの出方が違うという.....。

日本で中華饅頭を作ろうとしてもそれっぽいのは出来るけど、ドンピシャの現地のものは出来ないです。それ、お菓子にも言える事だと思います。

その同じ粉でくちあたりのやさしい柔らかなスポンジを作ろうとしても限界がありますよね。

材料の違い〜油脂編〜

油脂も違いましたねぇ.....外国のお菓子が口に合わないなと感じるのは

この油脂の差も大きいと思います。

実際私が中国で洋菓子やパンも食べさせていただきましたけれど やはり

鼻にあがってくるような独特の油脂の感じは日本のお菓子を食べ慣れている私にはちょっと馴染みにくい感じはありました。

工場で見せてもらった油脂もマーガリンのような...

ショートニングのような...独特な感じ。やたら黄色だったのが印象に残っています。

ラードだったのかも.........。

バターでは無かったと思います。

日本はベースがバターみたいな感じですものね。

 

やっぱり手に入りやすいのは圧倒的に現地のもの 

今回ベトナムでお菓子屋さんをやろうとされている方は向こうでお菓子作った事あるとはおっしゃっていましたけど、よくよく聞いてみたら材料は向こうにある「富沢商店」で買ってるそうなんです。

富沢がベトナムにまで進出していたのもびっくりですが(笑)高いんだろうな。

うちに来る方はどこの国でもやはり「個人で」というキーワードは変わらないのでそれが駄目なわけではないけれど。

現地の材料を知る事はとても大事な事。前記しましたが、思っている以上に違います。

そこはもう少し掘り下げてみてほしいです。

それにきっとそこに自分がやろうとしてることのヒントが見つかるはず。

彼はまだこれからいろいろ準備を本格的にしていこうとしている段階でしたので。

ビジネスのビジョンをしっかり立てて頑張って欲しいです。

彼は自分でお菓子を作ってみる時、日本のお菓子作りサイトを見ているそうですが

例の◯◯パットってところ(笑)

そちらが全く参考にならないわけではないのですが

ぜひ、現地の本屋さんに行ってお菓子の本を買って作ったほうが材料を知る良い勉強になるとお伝えしました。

日本のおいしいお菓子を提供するにしても手に入りやすいのは圧倒的に現地の物なわけですから。

「帰ったら本屋行きます。」と(笑)

 

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私は海外に行くと必ず行くと決めているのが

本屋さんなんですけど。

そして、そこで必ず買うのが

お菓子の本

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中国に行った際...唯一の休日に連れて行ってもらった本屋さんで購入したお菓子の本。

全く読めません(笑)